アメリカ人作家フリーダ・マクファデンさんの小説「ハウスメイド(The Housemaid)」の感想です。
いわくつきな家庭のハウスメイドをすることとなった女性が辿る数奇な運命を描くミステリーです。
前半と後半で見える景色が180度変わる、衝撃展開が人気の一冊となっています。
「ハウスメイド」の基本情報
- 作者:フリーダ・マクファデン(Freida McFadden)
- 訳者:高橋知子
- 刊行:2022年にアメリカで刊行
- 日本では2025年8月に文庫化
- シリーズ:あり
- 「ハウスメイド」シリーズ1作目(全3巻)
- 注意点
- 性的な描写ややあり
- グロテスクな描写あり
- 受賞歴
- NYタイムズベストセラー・1位
- ハヤカワミステリマガジン『ミステリが読みたい!2026年版』海外編・1位
- 宝島社『このミステリーがすごい!大賞』海外編・3位
「ハウスメイド」のあらすじ
「ハウスメイド」はアメリカ人作家フリーダ・マクファデンさんのミステリー小説です。
ある裕福な家庭でハウスメイドの職を得た女性の身に降りかかる、恐怖の体験が描かれています。
いくら仕事とはいえ、あまりにも理不尽な仕打ちの数々。
しかし、その家は大きな秘密を抱えていました。
まずはそんな「ハウスメイド」のあらすじを掲載します。
全米200万部突破
ハウスメイド(ハヤカワ・ミステリ文庫)―Amazon.co.jp
恐怖と驚きに包まれる衝撃の一冊
前科持ちのミリーが手に入れた、裕福な家庭でのハウスメイドの仕事。だが、この家は何かがおかしい。不可解な言動を繰り返す妻ニーナと、生意気な娘セシリア。夫のアンドリューはなぜ結婚生活を続けていられるのだろうか? ミリーは屋根裏部屋を与えられ、生活を始める。しかし、この部屋には……。そして、家族にまつわる真相が明かされるや、それまでに目にしたものすべてがひっくり返る。恐怖と衝撃のエンタメ小説。
主人公は前科持ち&仮釈放中の女性・ミリー。
職を失ったミリーは、住む場所どころか食べるものにも事欠く危機的状況に陥っていました。
しかし、脛に傷を持つミリーを雇ってくれる好条件の職場はありません。
そんななか、ダメ元で受けたのが高級住宅街にある家の住み込みメイドでした。
身元調査をされたら一発アウト、にも関わらずその家の奥様・ニーナはミリーを採用。
仕事も住む場所も手に入れたミリーでしたが、それが悲劇の始まりでした。
小説「ハウスメイド」はそんな展開から始まります。
ハリウッドで実写映画化
「ハウスメイド」はハリウッドで実写映画化され、日本でも2026年11月27日に全国公開されます。
世界的に大ヒットしている話題作として、期待されています。
【ネタバレなし】「ハウスメイド」の感想
ここからは「ハウスメイド」のネタバレなし感想です。
メインの登場人物は5人のみ
「ハウスメイド」に登場するメインキャラクターは5人のみ!
覚えやすい、どころか覚える必要がないくらい少ないので、海外小説ですが大変読みやすいのが特徴です。
そんな5人の登場人物がこちら。
- ミリー(ウィルへルミナ)・キャロウェイ
- ハウスメイドとして雇われる女性。前科持ち。
- ニーナ・ウィンチェスター
- ミリーを雇用する。
- アンドリュー
- ニーナの夫。
- セシリア
- ニーナの娘。小学生。
- エンツォ
- ウィンチェスター家の庭師。イタリア人。
物語はほぼこの5人のみで進んでいきます。
ずっと不穏なウィンチェスター家
ハウスメイドとしてミリーが働くこととなったのは夫婦と一人娘の三人家族であるウィンチェスター家。
とびきりハンサム、と表現される完璧な夫・アンドリュー。
その妻のニーナ。
そして娘のセシリア。
夢のような豪邸にたった三人で暮らしています。
ミリーの仕事は身の回りの家事全般。
三人家族の家事なら楽ちんであろう、と思いますが、全く家事ができないニーナのせいで想像を絶するほど過酷な仕事となっていました。
さらに、理不尽なことでニーナから怒られ続ける日々。
他で雇ってもらえるあてがないため必死で耐えるミリー。
この何をやっても裏目に出る上に、気分に波がある主人のご機嫌を伺い続けなければならない、という過酷な情景は、読んでいて胸が痛みました。
ヒステリックな妻と、不気味でわがまま放題な娘。
そんななか、唯一、ミリーに親切なのが夫・アンドリューでした。
なぜこんな完璧な人が、あんな人を妻にしているのだろう?
ミリーじゃなくっても、そう思ってしまいます。
住み込みで働き続ける日数が増えるほどにその不可解さは増します。
また、住み込みを始めたばかりのころからミリーに何かと警告をしてきた庭師・エンツォ
『危険』というメッセージの意味とは一体何だったのか?
そんなあらゆる謎がぐるぐると駆け巡る中、ミリーはある大胆な行動を起こし、その結果、ウィンチェスター家に大きな変化が訪れます。
その変化により、物語は第二部へと動き出すことに。
まさかの展開で驚きの連続
「ハウスメイド」は三部構成の小説ですが、第一部と第二部でまず大きな区切りとなっています。
第二部では、第一部の謎や不可解さが全部丸ごと明かされていきます。
モヤモヤが全て解消される展開はスカッとします。
しかし、種明かしがされればされていくほど、今まさに残っている元凶の行方が気になってしまいました。
けれどご安心ください。
全てがしっかり解決し、一応この「ハウスメイド」はハッピーエンドで終わります。
これ以上書くとネタバレになるため、一旦ここまでで感想を終えます。
ここまで「ハウスメイド」のネタバレなし感想でした。
ネタバレあり感想は↓で書いていきます。
【ネタバレあり】「ハウスメイド」の感想
この「ハウスメイド」の醍醐味はどんでん返しが味わえること。
小説の語り手は、第一部はミリーでしたが、第二部にはニーナにバトンタッチ。
すると、ミリーの視点ではけして窺い知ることができなかったニーナの事情が浮かび上がってきました。
ニーナの視点から見えた真実
望まぬ妊娠と出産、アンドリューとの出会いと結婚。
順風満帆に思えた新婚生活でしたが、それはアンドリューの本性が明らかになるまででした。
アンドリューの陰湿な性癖は、時代性というか、現代的に感じました。
用意周到で身も心もニーナを追い詰めていくさまは、読んでいるだけでも不快でした。
しかし、そこで負けずに立ち向かっていくのがニーナのスゴいところ。
庭師・エンツォの協力を得つつ、自身と娘・セシリアのため自由を獲得するために闘う姿には胸を打たれました。
第一部では悪魔のようにも感じたニーナでしたが、一転、彼女はしたたかな戦士でした。
再度、ミリーの視点
そもそも10年もの間、刑務所にいたという時点で軽い罪ではないことは分かりきっています。
ミリーの罪はやはり殺人。
しかし、その罪は友人を守るためのもので、いわゆる正義の鉄槌でもありました。
ただミリーは昔からあまりにもやり過ぎてしまうきらいがありました。
暴力の歯止めがきかず、たびたび問題を起こし、高校時代についに殺人を。
そして10年もの期間を刑務所で過ごし、仮釈放となり職を探していたところ、ニーナに雇われたのでした。
しかし、そんなウィンチェスター家での採用も、ニーナがアンドリューから逃れるために仕組んだ計画のうちだったのにはしびれました。
確実に何か企んでいるだろう、とは思っていましたが、まさかミリーにアンドリューを殺させるためとは・・・。
ヒヤヒヤもしましたし、書いていいのか分からないですがスカッとする終わりで合ったと思います。
ただし、ラストに葬儀の場面でドロッとした爆弾を残したのもよかったです。
この「ハウスメイド」は2026年9月時点でシリーズ3作が刊行されています。
はやく続編が読みたくなったところで、感想はここでおしまいにしたいと思います。


