「ハウスメイド2 死を招く秘密」フリーダ・マクファデン<感想・あらすじ>「ハウスメイド」シリーズ2作目

スポンサーリンク

アメリカ人作家フリーダ・マクファデンさんの小説「ハウスメイド2 死を招く秘密(The Housemaid’s Secret)」の感想です。

前作「ハウスメイド」に引き続き、歪な家庭のハウスメイドとして雇われたミリー。

虐げられた女性を守るべく立ち上がったミリーでしたが、彼女はある計画により窮地に立たされます。

どんでん返しからのどんでん返し、前作同様、結末が読めない面白さが魅力でした。

「ハウスメイド2 死を招く秘密」の基本情報

  • 作者:フリーダ・マクファデン(Freida McFadden)
  • 訳者:高橋知子
  • 刊行:2023年にアメリカで刊行
    • 日本では2025年12月にハヤカワ・ミステリ文庫より刊行
  • シリーズ:あり
  • 「ハウスメイド」シリーズ2作目(全3巻)
  • 注意点
    • 性的な描写ややあり
    • グロテスクな描写あり

「ハウスメイド2 死を招く秘密」のあらすじ

「ハウスメイド2 死を招く秘密」は、アメリカ人作家フリーダ・マクファデンさんのミステリー小説です。

タイトルに「2」をあるように、この「ハウスメイド2 死を招く秘密」はシリーズ2作目となります。

前作(1作目)となる「ハウスメイド」の感想はこちら≫

「ハウスメイド2 死を招く秘密」は「ハウスメイド」の続編。

ストーリーがつながっているため、読む際は必ず1作目「ハウスメイド」から読むことをオススメします。

まずは、そんな「ハウスメイド2 死を招く秘密」のあらすじを掲載します。

前作を凌ぐ、絶望と驚愕のシリーズ第二作。

ギャリック家のハウスメイドとして雇われたミリー。この家で働くには、守らなければならないルールがあると雇い主のダグラスから告げられる。何があってもゲストルームには入らないこと。そこでは病気の妻ウェンディが静養をしているという。ある日、ミリーは異様な量の血にまみれたガウンを見つけ……。閉ざされた部屋の中の秘密が明かされたとき、これまでにないほどの恐怖がミリーを襲う。

ハウスメイド2 死を招く秘密―Amazon.co.jp

「ハウスメイド2 死を招く秘密」では、前作「ハウスメイド」から4年もの月日が経過。

主人公であるミリー(ウィルへルミナ・キャロウェイ)は、ハウスメイドの仕事をしつつ、大学で福祉を学ぶ学生となっていました。

ブロックという優しい恋人もいて、生活に余裕はなく、危険もありながらも、平穏な生活を送っています。

前作「ハウスメイド」の序盤ではその日暮らしをしていたことを考えると大きな成長ですよね。

何とか安定した生活を送れていたものの、ある日、理不尽な理由により解雇されてしまったミリー。

新たに職探しをしていたところ、大企業のCEOを務めるダグラス・ギャリックに雇われることになります。

豪勢なペントハウスに暮らすギャリック家は、端から見れば理想の暮らし。

けれども、ダグラスの妻・ウェンディは病気療養中で、部屋から一歩も出ない生活。

ミリーが呼びかけても一向に反応がありませんでした。

ギャリック家でハウスメイドの仕事を続けるなか、それまでに数々の不和家庭を目の当たりにしてきたミリーはギャリック家の問題を確信。

ウェンディを窮地から救うことを決意しました。

しかし、その決意がミリーを逆に窮地に陥れることになるのです。

「ハウスメイド2 死を招く秘密」の感想

「ハウスメイド2 死を招く秘密」の感想です。

静かながら歪で不穏なギャリック家

「ハウスメイド2 死を招く秘密」は、基本的に前作「ハウスメイド」と同じようなストーリー展開で進んでいきます。

前半はミリーの視点から、雇い主である一家・ギャリック家の様子が描かれます。

誰もがうらやむようなペントハウスに暮らしながら、天の岩戸のように閉じこもる妻・ウェンディ。

その夫でハンサムながらどこか冷たい印象のダグラス。

前作「ハウスメイド」のニーナのように気性が激しい妻に振り回されることはありません。

しかし、静かながらギャリック家の異常性が浮き彫りになっていくのが「ハウスメイド2 死を招く秘密」の特徴でした。

前作「ハウスメイド」の後から、恋人となったエンツォとともに虐げられている女性に手を差し伸べてきたミリー。

そんなミリーの正義感がウェンディを見捨てることはありませんでした。

わずかな外出すら許されないウェンディを救出し、その逃亡を手伝う姿はスリリングで読んでいて楽しかったです。

残念すぎるエンツォの不在、だったが・・・

「ハウスメイド2 死を招く秘密」のセクシーアイコン?とも言うべき存在・エンツォ。

前作「ハウスメイド」での活躍も記憶に新しいですが、今作「ハウスメイド2 死を招く秘密」でも、しっかり登場し、ミリーをサポートしてくれました。

しかし、4年の月日は長く、ミリーとエンツォはわたしたち読者が知らない間に恋が始まり、終わっていました。

エンツォがイタリアに帰ったことで独りぼっちになったミリー。

優しい恋人・ブロックと過ごす時間は楽しいものの、服役の過去など秘密を打ち明けられないまま宙ぶらりんな関係を続けていました。

恋人に全てを明かす必要はありませんが、大きな秘密を隠したままの罪悪感がミリーの心を支配していました。

そのぶん、エンツォはミリーの過去を全て知った上で出会った存在。

気兼ねなく、何も隠すことなく心を許せる、まさに唯一無二の存在でした。

ブロックは相当魅力的な人物ではあるものの、やはりエンツォの圧倒的魅力には敵いません。

ただ、それでもブロックは悪い人ではないんですよね・・・。

むしろなかなかに可哀相な、何とも不運な人物で、彼にはぜひとも幸せになってほしいとも思える好人物でした。

やはり、最後はどんでん返し

小説のよいところは、視覚・聴覚からの情報がいずれもないところ。

小説の読み手は、文章を読み、その様子を自分の頭で思い浮かべて、情景や音を形作ります。

また、小説では『誰』が経験しているのかを示さなくても、ストーリーを紡ぐことができる、というのも大きなポイントです。

誰の視点で、誰が経験している状態なのか、それが分からない状態でも成立する、というのが小説の最も大きな強みでしょう。

「ハウスメイド2 死を招く秘密」では、前作同様、そのような小説の匿名性を存分に生かした仕掛けが施されていました。

プロローグは誰の視点なのか?

彼女は誰に襲われているのか?

その謎が明かされたとき、まさかと思い、騙された!と思いつつも、痛快な気分になれました。

騙されても気分がよい、という点も小説の良さでしょう。


ギャリック家に隠された大きな秘密。

その秘密によってミリーは陥れられてしまいます。

ミリーの運命は?と言うところですが、あとは【ネタバレあり】の後で説明していきます。

ここまで「ハウスメイド2 死を招く秘密」のネタバレなし感想でした。

ここからは「ハウスメイド2 死を招く秘密」のネタバレあり感想です。

【ネタバレあり】「ハウスメイド2 死を招く秘密」の感想

「ハウスメイド2 死を招く秘密」のネタバレあり感想です。

ギャリック家の妻・ウェンディについて

ミリーの雇い主であるダグラス・ギャリックを殺害してしまったミリー。

いくらダグラスが自信の妻であるウェンディの首を絞めているところを助けただけとしても、殺人は殺人。

震えながら家に戻り、警察の取り調べを受けたミリーですが、自身が殺害したはずの『ダグラス・ギャリック』が別人であることが判明。

第一部はそんな不可解な場面で終わり、第二部に突入。

第一部終了の時点でうすうす察しが付きましたが、ミリーを陥れたのは被害者だと思っていたウェンディでした。

そこからウェンディの過去が明かされていきます。

ウェンディの過去

ウェンディの過去は、逞しくもあり泥臭くもある現代版シンデレラストーリー、といった感じ。

大金持ちとの結婚、を叶えるため周到に立ち回ってきたウェンディ。

けれども、夫に魅力を感じることができず、つまらない日々を過ごしていました。

そんな無味乾燥な日常を変えたのは、夫・ダグラスの会社の受付係・メアリベスの夫であるラッセルでした。

ダグラスと違い、男性的魅力にあふれたラッセル。

ラッセルの方も美しいウェンディに惹かれ、二人はすぐに不倫関係に。

もうこうなったらやることは日本でもアメリカでも同じ。

邪魔者である夫・ダグラスの殺害、および遺産・保険金の奪取です。

「ハウスメイド2 死を招く秘密」の本編ストーリーはここから始まりました。

いろいろと強すぎるウェンディ

夫であるダグラスを殺害し、遺産・保険金を受け取ることを目論むウェンディ。

当然ですが、殺害の実行犯はお金を受け取ることができません。

お金を受け取るために別人を殺人犯に仕立て上げる必要がありました。

その殺人犯に仕立て上げられたのがミリーだったのです。

友人を守るため、という正義感によるものだったとはいえ殺人は殺人。

過去と動機、そして近年の活動を知ったウェンブレーはミリーを利用し、ラッセルと共同でダグラス殺害を計画、実行しました。

ダグラスがペントハウスにほとんど訪れないことを利用し、ラッセルを『DV夫・ダグラス』に仕立て上げ、ミリーの同情を誘い、正義感を刺激。

一度、逃亡計画を実行するも失敗したと思わせ、暴力がひどくなったと思わせ、罪悪感を植え付けます。

そして、ダグラス(のふりをしたラッセル)が一線を越えウェンディを殺害しようとしているところを見せつけました。

ミリーにあらかじめ見せておいた拳銃でダグラスを撃たせて殺害。

しかし、拳銃は空砲。

もちろんダグラス(のふりをしたラッセル)は無事。

その後、家に呼びつけ本物のダグラスをウェンディ自らが撃ち殺し、計画を遂行したのでした。

・・・いや、強いですよね。

やっていること、動機は最低なのですが、それを遂行してしまう圧倒的パワフルさ。

そしてその後、ラッセルと2人で山小屋へ逃亡し打ち上げをやるしたたかさもあり、その強さには脱帽です。

ウェンディはザ・悪女、といった存在。

それでも、生い立ちなどからその気持ちやしたたかさの理由も理解できます。

いや、でも、やり過ぎなのは事実。

彼女の結末は呆気ないものでしたが、悪は滅びる、勧善懲悪な世界観を肯定するラストだったと思います。

怒った女を甘く見てはいけない

プロローグで窮地に立っている女性、それはウェンディです。

では、ウェンディを追い詰めているのは?

途中まで読んでいるとミリーだと思わされますが、それは叙述トリック。

ミリーは窮地にある女性を救うためには手を汚しますが、自分自身のために手を汚す女ではありません。

そこの線引きがしっかりしているからこそ、ミリーは本作の主人公であり、正義の味方でいるのでしょう。

また、今回の件では、殺人犯に仕立て上げられかけたミリーの他にも被害者がいました。

ラッセルの妻・メアリベスです。

大人しそうな印象のメアリベスでしたが、夫の不倫と雇い主の死を知り変貌。

彼女の怒りに火を点けたウェンディは、その報いを、自らの命をもって償うことになりました。

まあ確かに悪いのはウェンディなのですが、あそこまで大胆に犯行をやり遂げた上でのあの呆気ない結末、というのは若干の切なさすらも感じます。

けれども、あの時点で報いを受けなくても、結局、犯行は穴だらけだったので刑務所送りだったのは間違いありません。

完全犯罪もなかなか難しいものです。

今回、巻き込まれたミリーでしたが、結果的にエンツォとよりを戻し、幸せを手に入れることができました。

しかし、この「ハウスメイド」シリーズはあと1作、3作目があります。

2作目まで読み終わってしまったので、さっそく、3作目を読みたいと思います!

タイトルとURLをコピーしました